ハナプロサポーター
募集中
「ハナプロサポーター」=ハナプロに継続的にご支援をいただく方々の募集を始めました。クラウドファンディングに窓口を設けております。 毎月定額にてご支援いただくしくみです。いつでも参加できて、いつでもやめられます。(法人のかたも参加できます)
犬と猫がとても好きで、彼らのためになにかできることはないか。
そんな思いで取材をしていく過程で、石田ゆり子さんと出会いました。
じゃあ、一緒に始めよう!
こうしてハナコプロジェクトが生まれました。
私は、2011年から犬と猫の命をテーマに取材をしてきました。
当時、犬と猫の殺処分は約17.5万匹(平成23年度・環境省)、途方もない数でした。
そこで少しでも処分される犬や猫を減らそうとしている人達に取材を始め、4年間撮り続けて、映画「犬に名前をつける日」(2015公開)注1を作りました。
「ザ・ノンフィクション 犬と猫の向こう側」(フジテレビ・2018)注2では、多頭飼育崩壊に陥った飼い主たちの社会からの孤立を描きました。世話ができないほど犬や猫を増やしてしまう飼い主はもちろん悪いのですが、困った時に、「助けて!」と頼れるひとがいないこと、そして解決できるしくみがないことが問題だと気づきました。
この時、ナレーションをお願いしたのが、石田ゆり子さんでした。ゆり子さんは、虐待されたり、行き場のない犬と猫の映像を見て言葉をつまらせ、「自分たちでもなにかできないか」と言い出しました。作り手の立場から一歩先へ進みたい、という思いは同じだなと思いました。しかし、この時点では、取材する立場から抜け出すことに迷いがありました。
気持ちが変わったのは、保護犬、保護猫の飼い主を探す「家族になろうよ」(NHKBSプレミアム・2019)の取材です。イギリス、台湾、ブラジルの保護施設を訪れたのですが、リオデジャネイロで保護施設「HOPE」を運営していたのは世界的なジャーナリストのグレン・グリーンウォルドさんでした。グレンさんは、スノーデン事件(注3)をスクープしたことで知られますが、大の犬好きでもあり、行き場のない犬のために自費でシェルターを作っていました。取材するだけでなく、自分でもやってみたいと思っていた私はグレンさんの姿に背中を押されたように思いました。
この番組には、石田ゆり子さんにも出演してもらいました。いつしか、保護犬、保護猫をテーマにするとき、ゆり子さんは欠かせない存在となっていました。NHKの楽屋で「もっとなにかできないかな」と再び話し合いました。
さらに出会いは続きます。
ノンフィクション作家・片野ゆかさんの「北里大学獣医学部 犬部!」が映画化されることになり、脚本を書くことになりました。(注4)その取材で知ったのが、獣医師の太田快作さんでした。
太田さんは、東京・杉並にある「ハナ動物病院」の院長。積極的に保護犬・猫の診療を行い、2011年の震災以後、福島へ定期的に通って被災動物の医療を無償で行なっています。北里大学獣医学部在学中に、動物愛護サークル「犬部」を立ち上げた、動物愛にあふれるひとです。
太田さんをより深く取材して、「ザ・ノンフィクション 花子と先生の18年」(2020・フジテレビ)を作りました。(注5)この時のナレーションもゆり子さんにお願いしました。
「犬と猫のために何かしたい」というゆり子さんの思いは変わらず、太田さんも交えて話し合うことになりました。
「保護活動に協力してくれる動物病院がもっとあったら救える命も増えるのではないか」
「そのためには、動物病院へ医療費を支援するしくみが必要なのではないか」
しかし、実際始めるのには資金が必要です。
2021年5月、ゆり子さんは一緒に暮らす犬と猫との日々を5年間にわたって綴った「ハニオ日記」を出版しました。あとがきで、印税のすべてを保護犬・保護猫のために寄付すると宣言します。
はじめはびっくりしましたが、ゆり子さんの意志が固いことから、一気に計画が進みました。ゆり子さんの寄付を支えとして、医療費支援のしくみを作り、2021年8月、一般社団法人ハナコプロジェクトを設立しました。
太田さんには、「ハナ動物病院」を最初の「ハナコプロジェクト協力病院」として参加してもらうことになりました。
ハナコは、太田さんが愛してやまなかった犬・花子にちなんでいます。
公園に捨てられ、保健所に送られた花子が太田さんと出会って、幸せになったように、少しでも多くの犬と猫が生き延びるチャンスを増やしたい、そんな思いを込めています。
ゆり子さんの歴代の愛犬にも「ハナ」ちゃんがいます。ハナ、ハナコという名前の犬と猫も多いと思います。
(うちの犬も「ハル」「ナツ」と言いまして、頭文字をつなげると「ハナ」です…笑)
ハナコは救いを求めるすべての犬と猫をさし、ハナコプロジェクトと名付けました。
医療支援のひとつには、「ちびっこケア」があります。これはゆり子さんの命名です。ミルクボランティアとして、子猫「ちびた」を育てたゆり子さんらしいネーミングになりました。
まだ、始めたばかりで、支援できる範囲も限られていますが、
ゆくゆくは全国どこでも、飼い主のいない犬と猫が負担なく医療を受けられるしくみに育てていきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
一般社団法人ハナコプロジェクト
代表理事 山田あかね
余談ですが……。
2022年4月17日から5月3日までポーランドとウクライナに取材に行って来ました。
戦争の渦中でも動物の命を救う人たちを記録し、その姿を伝えたかったからです。
ポーランドとウクライナの国境近くに臨時シェルターを作った愛護団体を訪ねたり、 ウクライナのリビウ近くの町、ドロホヴィッチで、野良犬事情を学んだり、 ウクライナの公営シェルターで痩せすぎのラブラドールを見て、何とかできないかと思いました。
ポーランドには、世界中の動物愛護団体が駆け付け、ウクライナの動物を救うために昼夜問わず、活動していました。その姿に心打たれ、いつかハナプロでも支援したいと思っています。
以下、詳しくは朝日新聞のwebサイト、sippoと私のブログで紹介していますので、ぜひ、読んでください。
sippo 山田あかねの一喜一憂日記
注2)「犬と猫の向こう側」(扶桑社)
取材内容をまとめた本にしました。
この番組は、2019年放送文化基金優秀賞受賞をいただきました。
注3)スノーデン事件
アメリカ国家安全保障局NSAの職員だったエドワード・スノーデンは、
政府が国民の個人情報を監視していることをイギリスのガーディアン
誌に告発。スクープを行ったのがグレン・グリーンウォルド氏。
注4)映画小説版「犬部!」(朝日新聞出版)
より詳しい内容を加えて小説版も書きました。
注5)「犬は愛情を食べて生きている」(光文社)
さらに取材を進めて、本を書きました。太田さんが学生時代に行った
「外科実習をとめるための全国の獣医学部行脚」の様子を詳しく取材しています。
動物たちのために何かしたいとずっと思ってきました。
このハナコプロジェクトの考え方を1年前に山田あかねさん、太田快作さんと話し合った時、なんて画期的な考え方なのだろうと目の前に光が差した思いがしました。
是非やりたい。社会の仕組みの一端を、新しいシステムを作りたい。動物愛護先進国のイギリスのようになっていきたい。 いや、ならなくてはいけないと強く思います。
小さな一歩が大きなうねりになり、当たり前のように社会全体で動物たちを幸せにする世の中になることを夢見て自分にできることを精一杯していきたい。
拙著「ハニオ日記」を出版することを決めた理由も、印税を全て、動物たちのために使おうと最初から決めていたからです。
私と動物たちとの暮らしを点描し続けた記録であるあの本がこうしてこのプロジェクトを発動させるエンジンになることを心から幸せに思います。
ハナコプロジェクトは、みなさんの寄付によって運営しています。
飼い主のいない犬と猫へ、医療を届ける力を貸してください。